護衛艦 DD101 むらさめ 型
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ヘリコプター搭載汎用護衛艦
DESTROYER
海上自衛隊の花形 八八艦隊の正面担当艦
ステルス性を重視した 最新ハイテク護衛艦
護衛艦 DD101 むらさめ (DD101むらさめ型)
「あさぎり」型に続く、第3世代のヘリ搭載汎用護衛艦。基本的装備は、「あさぎり」型に準じているが、艦型は、ステルス性を考慮して、テーパー(傾斜)がかけられており、CIWS(Closed In Weapon System)の装備位置も、艦の前後に配置されるなど、より射界の確保がされている。
アスロック(ASROC)発射機と、短SAM(シースパロー)に、垂直発射機構VLS(Vertical Launching System)が採用された。
アスロック(ASROC)は、Anti Submarine Rocketの事で、対潜魚雷を付けたロケットを飛ばせ、目標潜水艦付近にパラシュートで落下着水した後、対潜魚雷として目標を攻撃するもの。
従来のミサイルは、弾庫からミサイルをランチャーへ装填し、目標へ指向し発射していたが、次弾発射のリアクションタイム短縮と、ランチャーの残存性向上のため、垂直発射機構VLS(Vertical Launching System)が採用されている。弾庫とランチャーが一体化して船体内に埋め込まれて装備されている。
短SAM(シースパロー)のミサイル性能には大差はないが、垂直発射方式の採用により、ランチャーを旋回指向する時間などの、リアクションタイムの短縮などにより、即応力が増大している。
目下、短SAMシステム換装が進められており、平成18年度予算において2隻分約9億円が成立している。
これは、ESSM搭載を可能とするものだが、Mk.41 VLSではクワッドパックが使用できるものの、本型ではMk.48 VLSを使用するため、搭載弾数には変化がない。
アスロック(ASROC)については、アメリカの垂直発射式アスロック(VL-ASROC)を搭載し、射程が約2倍に向上している。
対艦ミサイルは、当初はハープーンを搭載している艦もあったが、現在ではほとんどが国産の90式対艦ミサイル(SSM-1B)を搭載おり、いずれの運用も可能である。4連装のランチャーも、ハープーン同様のキャ二スター形式で、混載が可能である。
ヘリコプター格納庫は、「あさぎり」型同様、2機の格納も可能とされている。
本型では、バウソナーが復活した。
ステルス性の艦型と、垂直発射機構VLS(Vertical Launching System)の装備により、ミニ・イージス艦とも言われているが、イージスシステム自体は搭載されておらず、現状ではイージスシステムとのリンクや連動などの直接的関係もない。
「あさぎり」型より、約1000トン排水量が増大したが、省力化が進み、乗員数は逆に2割程度減っている。
マストは、艦の大型化にも関わらず、艦橋直後の1本に、機能が集中されている。
本型の建造は、9隻で終了し、DD110からは、細部を改良した4600トンの「たかなみ」型へ移行した。
9.11テロ以降、各艦に機関銃の架台が追加装備されているが、七番艦の「いかづち」以降は当初より設置されており、そのため、チャフ甲板が艦橋ウイング下前面まで拡大されている。
目下の編制は、4個護衛隊群のいわゆる八八艦隊に基づく構成であるが、多様化する運用にマッチさせるために、大幅な編制の変更が計画されており、平成19年度には抜本的に変更された新しい編制となる見込みである。
「むらさめ」「はるさめ」「ゆうだち」「きりさめ」は、平成12年5月30日〜7月5日にハワイ周辺海域で実施されたリムパック2000に、第2護衛隊群司令の指揮の下「八八艦隊」を構成して参加した。
「さみだれ」は、2001年5月16日〜8月3日「ひえい」「ちょうかい」P3C 5機などと共に、派米訓練を行っている。
「はるさめ」は、2002.11.25インド洋派遣部隊として派遣されている。
「さみだれ」は、2002.9.7インド洋派遣部隊として派遣されている。
「いなづま」は、2002.7.1-2002.10.31インド洋派遣部隊として派遣されている。
艦名には、天象気象の名称から、「村雨」「春雨」「夕立」「霧雨」「電」「五月雨」「雷」など、「雨」に関する名称が付けられている。
「きりさめ」は、2001年9月11日に発生した対米同時多発テロに対する情報収集任務により、2001年11月9日インド洋派遣部隊の第一陣として派遣されている。
「あけぼの」は、東京のIHI石川島播磨重工東京工場における最終建造船である。
DD とは Destroyer の略号で、元来は、駆逐艦 の意。
同型艦
艦種 艦番号 艦名 就役日 所属 定係港 建造所 建造年度
護衛艦 DD101 むらさめ 平成8年3月14日 第1護衛隊群 第1護衛隊 横須賀 石播東京 H3
護衛艦 DD102 はるさめ 平成9年3月24日 第1護衛隊群 第1護衛隊 横須賀 三井玉野 H4
護衛艦 DD103 ゆうだち 平成11年3月4日 第2護衛隊群 第6護衛隊 佐世保 住重浦賀 H6
護衛艦 DD104 きりさめ 平成11年3月18日 第2護衛隊群 第6護衛隊 佐世保 三菱長崎 H6
護衛艦 DD105 いなづま 平成12年3月15日 第4護衛隊群 第4護衛隊 呉 三菱長崎 H7
護衛艦 DD106 さみだれ 平成12年3月21日 第4護衛隊群 第4護衛隊 呉 石播東京 H7
護衛艦 DD107 いかづち 平成13年3月14日 第1護衛隊群 第5護衛隊 横須賀 日立舞鶴 H8
護衛艦 DD108 あけぼの 平成14年3月19日 第4護衛隊群 第4護衛隊 呉 石播東京 H9
護衛艦 DD109 ありあけ 平成14年3月6日 第2護衛隊群 第6護衛隊 佐世保 三菱長崎 H9
基準排水量:4550t / 満載排水量:5100t
主要寸法 全長151m×幅17.4m×深さ10.9m×喫水5.2m
主機:COGAG ガスタービン4基2軸, 出力:60000PS
速力:約30kt
船型:平甲板型(遮浪甲板型), 乗員:約165名
主要装備:
3インチ62口径単装速射砲:1基
高性能20mm多銃身機関砲(CIWS):2基, 短SAM VLS(Mk.48):1基
4連装SSM発射機:2基, アスロック(ASROC) VLS(Mk.41):1基(16セル)
3連装短魚雷発射管:2基, 哨戒ヘリコプター:1機
電子装備:
OPS-20 航海レーダー
OPS-28D 対水上レーダー
OPS-24B 対空レーダー
FCS-2 射撃指揮装置2型31
NOLQ-3 電子戦装置(ESM/ECM)
ORQ-1 ヘリコプター用データリンク装置
URN-25 TACAN
インマルサット衛星通信アンテナ
スーパーバード衛星通信アンテナ
DDむらさめ型 機関配置
ガスタービン4基2軸
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DD101 むらさめ(97.10.22事前訓練)
DD102 はるさめ(97.10.22事前訓練)
⇒ DD101 むらさめ 写真集
新規作成日:2001年11月27日/最終更新日:2006年11月9日